投稿者:奥田
前回の記事で、私は現状の鍼灸業の低迷の理由として、真に東洋医学に基づいた鍼灸治療をこれまでしてこなかった事にあると書きました。
では東洋医学に基づいた鍼灸とはいかなる物なのでしょうか。
漠然としていてわかりにくいですね。
私は「証」(あかし)による鍼灸治療こそが真に東洋医学的な治療だと考えます。
一つの症状、例えば不眠を主訴としている方がいて、もし病院にこの方が受診したとします。
そうすると医師はある程度の生活指導をされるかもしれませんが、結局は睡眠導入剤や眠剤あるいは抗鬱剤を処方されて服薬することになるでしょう。
服薬当初は効果があるように感じるかもしれませんが、そのうちに身体が薬物に慣れてきたり、また副作用で別の不快症状が出てきてしまい、不眠と言う症状に長く悩まされることが多くみられます。
東洋医学に基づく鍼灸治療では、不眠を訴えて来院した人に対して「証」と言う方法論でアプローチします。
具体的には、その人が訴えている眠れないと言う症状に伴って種々な不快症状を全て視野に入れてその人まるごとを癒やしてゆくようにします。
不眠以外に、動悸や呼吸の浅さ、身体の倦怠感や冷え、鼻炎や皮膚の湿疹、頚や肩の凝り、女性であれば生理痛やPMSなど、便通の状態など全てを対象に「証」と言う物に集約して治療をします。
これを西洋医学で診るなら、鼻は耳鼻科に、皮膚症状があれば皮膚科に、生理痛は婦人科に、便通異常があれば内科に頚や肩の凝りは整形外科を受診することになり、それぞれに薬が出される結果になります。
これでは治る物も治らないし薬漬けの身体になってしまいます。
昨今過剰医療の問題や医療費の爆増が私たちを苦しめていることがようやく話題になってきました。
「証」による鍼灸治療では、これら全ての症状が好転していき、主訴である不眠についても確実に眠れる状態に導くことが可能です。
同じ鍼灸治療であっても、不眠だけを目的にした対症療法的な治療では、そうは行かないことがほとんどです。
それだけ「証」と言う方法はパワフルなんだと思います。
西洋医学では、多くの慢性症状や不定愁訴は十分に治すことができません。
森の中の木しか見れないからです。
真の東洋医学的鍼灸術は、森を森としてまるごと癒やしてゆく事が可能な治療術です。

0 件のコメント:
コメントを投稿